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大阪都構想 解説とQ&A

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住民投票の「反対」多数での否決を受けて

 

 大阪市廃止・分割の是非を問う住民投票が5月17日に行われ、投票率66.83%、反対705,585票、賛成694,844票、その差10,741票で否決され、指定都市・大阪市が引き続き存続することが決定しました。

 今回の住民投票は、昨年10月、府・市の両議会でいったん否決された「特別区設置協定書」が、市民の預かり知らないところでよみがえり、議会としての責任が不明確なまま、最終判断を住民に丸投げするという、極めて異例な経緯を経て行われたものでした。「議会としての判断」を改めてもう一度市民が判断するという、法律が本来想定していたであろう住民投票とは異なりましたので、市民はたいへんな判断を求められたと思います。

 法律で市長に「分かりやすい説明をしなければならない」(大都市法7条2項)と義務づけられた住民説明会は、協定書に書かれた重要事項(デメリット)が説明されないで、良い話ばかりが述べられる場になっていましたし、「関係市町村の廃止」(大都市法1条)の賛否を問う住民投票の投票用紙も、「大阪市における特別区の設置についての投票」(参照)と、大阪市を残したまま特別区を置くと誤解しかねない文章になっていました。もし投票用紙が、「大阪市の廃止」を明記する公正中立なものであれば、「反対」票はもっと増えて「賛成」票に明快な差をつけていたと思われます。

図 住民投票の投票用紙

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150512/281008/zu02.jpg

(大阪市選挙管理委員会ウェブサイトより)

 

 そうした意味で、その結果次第では、投票のあと投票は違法で無効だという訴訟が起こされる可能性も十分にあった住民投票でもありました。

 大阪市廃止・分割が「反対」多数で否決された、その勝因についてはもう少し時間をかけて議論したり分析したりする必要があるでしょうが、告示から投票日までの20日間、多くの市民が情報収集や情報交換しながら、熟考したのだと思います。そうでなければ、70万人を超える市民が「反対」に投票するわけはありません。そんな感じが強くしています。市民の自発的で、個人を含む大小さまざまな「反対」運動が起こり展開されたのも今回の大きな特徴であったと思います。

 多くの問題を孕みながら、突然押し付けられたように行われた住民投票でしたが、この貴重な経験をこれからのまちづくりのために生かすことできればと思います。

 

大阪市政調査会会長  澤井 勝

 

 

「大阪都」(大阪市廃止・分割)構想の内容と決め方についての意見

(2015年 1月26日)

 村上 弘

 立命館大学法学部教授(行政学・地方自治論)

 

<意見の構成(要約)>

 

【AB】

「大阪都」の重要事項  

1.大阪府の名前は「都」にならない。

2.大阪市は、廃止され消滅する。

3.大阪市の権限・財源・施設は、大きいものは府、小さなものは特別区へ。

4.改憲に似た決定手続き =府・市議会+市民の住民投票の「イエス」が必要。

5.パリ、リヨン、ミラノ、アムステルダム、バルセロナ、台北など

 →中心都市の市役所+広域自治体(県や州)。

  市と広域の「二重のエンジン」で発展。

 

【C】 

メリット 対 デメリット・代替案

1.市を吸収して強い大阪府に ― 大阪市の政策力と自治が消える

2.大型事業(鉄道、カジノ等)― 必要なものは府市の協力で

3.府市の二重行政の廃止   ― 複数の施設・二重防災が消える

4.特別区の区長・議会公選  ― 都市計画権限もない弱い区に

5.民営化を含め効率化    ― 特別区への分割で非効率

 

【D】 

コメント

1.「大阪都」は、生活習慣病に対する、臓器(=大阪市)の切除?

まず、2014年に地方自治法に取り入れられた、府県・市の調整会議、区の権限拡大などのソフトな制度を大阪で導入し、数年間試みても成果が出なければ、大阪市の廃止(大阪都)に進むべきだ。

2.議会は、複雑な内容をしっかり判断すべきで、住民投票に丸投げしてはならない。

3.大阪市は、反対意見やデメリットの情報も含め、重要事項をすべて広報すべきだ。

4.「大阪都(大阪市廃止分割)構想」と呼ぶと、中立的になりかつ内容が分かりやすい。

 

著者

季刊『市政研究』

大阪都構想 関連論文

発行年月
澤井 勝 行き詰まる「大阪都」構想と橋下市政改革

2014年7月第184号

森 裕之 「大阪都構想」と都市自治の危機

2011年7月

第172号

高寄 昇三 虚構・大阪都構想への実証的反論

2011年1月

第170号

木村 收 府市統合・再編論、大阪市分割論の虚実

2010年10月

第169号

新藤 宗幸 地方政治の現状と課題−地方分権改革の低迷と首長権力の策謀−

2010年10月

第169号

松谷 満 ポピュリズムとしての橋下府政−府民は何を評価し、なぜ支持するのか−

2010年10月

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今井 照 東京都区制度から考える「大阪都」構想

2010年10月

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長谷川俊英 お任せ「地域主権」か、「参加民主主義」か−知事が率いる地域政党の問題と議会改革−

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本郷 隆夫 「大阪都構想」を批判する

2010年7月

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著者

大阪都 Q&Aと解説 関連文献
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村上 弘 大阪都構想−メリット、デメリット、論点を考える−

2011年6月

『立命館法学』第335号

村上 弘 「大阪都」の基礎研究−橋下知事による大阪市廃止構想−

2010年10月

『立命館法学』第331号

 

推薦図書
 

大阪の自治を考える研究会編著『いま一度考えたい 大阪市の廃止・分割−その是非を問う住民投票を前に−』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット67)、2015年3月発行。

 

大阪の自治を考える研究会編著『大阪市廃止・特別区設置の制度設計案を批判する−いま、なぜ大阪市の消滅なのかPARTU−』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット63)、2014年3月発行。

大阪の自治を考える研究会編著『いま、なぜ大阪市の消滅なのか−「大都市地域特別区法」の成立と今後の課題−』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット61)、2013年3月発行。

辻山幸宣/岩ア忠編『大都市制度と自治の行方−第27回自治総研セミナーの記録−』公人社(自治総研ブックレット15)、2012年11月発行。

栗原利美著/米倉克良編『東京都区制度の歴史と課題』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット58)、2012年4月発行。

澤井勝/村上弘/大阪市政調査会編著『大阪都構想Q&Aと資料−大阪・堺が無力な「分断都市」になる』公人社(自治総研ブックス9)、2011年9月発行。

高寄昇三『翼賛議会型政治・地方民主主義への脅威−地域政党と地方マニフェスト−』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット56)、2011年6月発行。

(社)大阪自治体問題研究所企画『大阪都構想を越えて―問われる日本の民主主義と地方自治―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット55)、2011年4月発行。

高寄昇三『大阪市存続・大阪都粉砕の戦略―地方政治とポピュリズム―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット54)、2011年2月発行。


『虚構・大阪都構想への反論』
高寄昇三『虚構・大阪都構想への反論―橋下ポピュリズムと都市主権の対決―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット53)、2010年12月発行。

『大阪都構想と橋下政治の検証』
高寄昇三『大阪都構想と橋下政治の検証―府県集権主義への批判―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット52)、2010年7月発行、2012年1月増補版発行。


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