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大阪都構想 解説とQ&A

HOME>>「大阪都」(大阪市廃止・分割)構想解説

 

  「大阪都」―それは、橋下市長と維新の会が進める構想であり、指定都市である大阪市を廃止し、それらの権限や財源のうち重要な部分を大阪都=府 が吸い上げ、また基礎的な部分を公選区長・議会を備えた小さな特別区が引き受けるという計画です。実現すると、大阪は、先進国ではまれな、自前の強い自治体政府を持てない大都市になるでしょう。(パリ、ミラノ、ミュンヘン、シカゴ、トロント、台北など、人口100〜300万人の大都市自治体は国際標準といってよい。)その論争の結果は、長期にわたって、大阪の地方自治や諸政策のあり方を左右するでしょう。個別政策とは違い、いったん大阪市を廃止・分割してしまうとその復元は至難で、それだけに十分な検討が必要です。

 ところが、世論調査では、「大阪都」構想には賛否が分かれますが、同時に「説明不足だ」という意見がたいへん多いのです。推進派は、「大阪市がなくなる」「大阪は都にならない」「府と市の二重行政には需要の高い施設も多い」などの重要事実を、あまり説明しません。市民の多くが、「大阪都」構想を理解しないままムードで支持し、それによって伝統ある大阪市が消滅してしまうのでは、将来に悔いが残るでしょう。

 この現状は、「大阪都」が複雑な問題なのに、推進派がそのメリットや効果だけを誇張して、一方的に宣伝しているためではないでしょうか。もちろん、デメリットや対案について、十分な情報発信をしていると必ずしもいえない反対派にも、責任の一端はあるでしょう。

 このコーナーは、「大阪都」構想をめぐる議論に多少ともバランスと知性を確保したいという願いから、「対抗情報」を集めて発信するために、設けられました。結果として「大阪都」に批判的な情報が多いのですが、それは感情的・イデオロギー的な批判ではなく、あくまでも事実やデータ、論理的推論にもとづいた検討の結果です。

 そういう意味で、このコーナーの情報が、「大阪都」反対派の方々だけでなく、「大阪都」構想を冷静に考えようとする方(マスコミを含む)や、推進派の方にも、参考にし活用していただけるよう、祈っております。

 なお、このサイトへのリンクは、自由に設定していただくようお願いします。

 

 

「大阪都」(大阪市廃止・分割)構想の内容と決め方についての意見

(2015年 1月26日)

 村上 弘

 立命館大学法学部教授(行政学・地方自治論)

 

<意見の構成(要約)>

 

【AB】

「大阪都」の重要事項  

1.大阪府の名前は「都」にならない。

2.大阪市は、廃止され消滅する。

3.大阪市の権限・財源・施設は、大きいものは府、小さなものは特別区へ。

4.改憲に似た決定手続き =府・市議会+市民の住民投票の「イエス」が必要。

5.パリ、リヨン、ミラノ、アムステルダム、バルセロナ、台北など

 →中心都市の市役所+広域自治体(県や州)。

  市と広域の「二重のエンジン」で発展。

 

【C】 

メリット 対 デメリット・代替案

1.市を吸収して強い大阪府に ― 大阪市の政策力と自治が消える

2.大型事業(鉄道、カジノ等)― 必要なものは府市の協力で

3.府市の二重行政の廃止   ― 複数の施設・二重防災が消える

4.特別区の区長・議会公選  ― 都市計画権限もない弱い区に

5.民営化を含め効率化    ― 特別区への分割で非効率

 

【D】 

コメント

1.「大阪都」は、生活習慣病に対する、臓器(=大阪市)の切除?

まず、2014年に地方自治法に取り入れられた、府県・市の調整会議、区の権限拡大などのソフトな制度を大阪で導入し、数年間試みても成果が出なければ、大阪市の廃止(大阪都)に進むべきだ。

2.議会は、複雑な内容をしっかり判断すべきで、住民投票に丸投げしてはならない。

3.大阪市は、反対意見やデメリットの情報も含め、重要事項をすべて広報すべきだ。

4.「大阪都(大阪市廃止分割)構想」と呼ぶと、中立的になりかつ内容が分かりやすい。

 

著者

季刊『市政研究』

大阪都構想 関連論文

発行年月
澤井 勝 行き詰まる「大阪都」構想と橋下市政改革

2014年7月第184号

森 裕之 「大阪都構想」と都市自治の危機

2011年7月

第172号

高寄 昇三 虚構・大阪都構想への実証的反論

2011年1月

第170号

木村 收 府市統合・再編論、大阪市分割論の虚実

2010年10月

第169号

新藤 宗幸 地方政治の現状と課題−地方分権改革の低迷と首長権力の策謀−

2010年10月

第169号

松谷 満 ポピュリズムとしての橋下府政−府民は何を評価し、なぜ支持するのか−

2010年10月

第169号

今井 照 東京都区制度から考える「大阪都」構想

2010年10月

第169号

長谷川俊英 お任せ「地域主権」か、「参加民主主義」か−知事が率いる地域政党の問題と議会改革−

2010年10月

第169号

本郷 隆夫 「大阪都構想」を批判する

2010年7月

第168号

       

著者

大阪都 Q&Aと解説 関連文献
発行年月
村上 弘 大阪都構想−メリット、デメリット、論点を考える−

2011年6月

『立命館法学』第335号

村上 弘 「大阪都」の基礎研究−橋下知事による大阪市廃止構想−

2010年10月

『立命館法学』第331号

 

推薦図書
 

大阪の自治を考える研究会編著『大阪市廃止・特別区設置の制度設計案を批判する−いま、なぜ大阪市の消滅なのかPARTU−』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット63)、2014年3月発行。

大阪の自治を考える研究会編著『いま、なぜ大阪市の消滅なのか−「大都市地域特別区法」の成立と今後の課題−』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット61)、2013年3月発行。

辻山幸宣/岩ア忠編『大都市制度と自治の行方−第27回自治総研セミナーの記録−』公人社(自治総研ブックレット15)、2012年11月発行。

栗原利美著/米倉克良編『東京都区制度の歴史と課題』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット58)、2012年4月発行。

澤井勝/村上弘/大阪市政調査会編著『大阪都構想Q&Aと資料−大阪・堺が無力な「分断都市」になる』公人社(自治総研ブックス9)、2011年9月発行。

高寄昇三『翼賛議会型政治・地方民主主義への脅威−地域政党と地方マニフェスト−』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット56)、2011年6月発行。

(社)大阪自治体問題研究所企画『大阪都構想を越えて―問われる日本の民主主義と地方自治―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット55)、2011年4月発行。

高寄昇三『大阪市存続・大阪都粉砕の戦略―地方政治とポピュリズム―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット54)、2011年2月発行。


『虚構・大阪都構想への反論』
高寄昇三『虚構・大阪都構想への反論―橋下ポピュリズムと都市主権の対決―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット53)、2010年12月発行。

『大阪都構想と橋下政治の検証』
高寄昇三『大阪都構想と橋下政治の検証―府県集権主義への批判―』公人の友社(地方自治ジャーナルブックレット52)、2010年7月発行、2012年1月増補版発行。


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